ヤマダの職歴をざっくり書き出してみると、
- 新卒から4年半くらい、雇われ美容師
- 半年間、ホテルマン
- 5年間、フリーランス美容師
- 5年半、roomRoom←イマココ
なんですよね。
雇われてた期間が4年半しかないって今思うと結構短いですねぇ。
あ、いや、言いたいのはそれじゃなくて・・・。
(続きは下に。)
職場を変える価値
職場を選ぶ基準として、いわゆる“ブラック”だとか、“ホワイト”だとかって少なからずあると思います。
人によっては職種よりそっちを第一優先に考える人もいるようですし。
でも新卒で入った職場って社会人として初めて働く会社だから、自分が良い環境なのか、良くない環境なのかってわからなくないですか?
会社でなんか疑問があっても、
「社会人ってこんな感じなの・・・?」
みたいに思ったりしません?
他の職場知らないから比べようがない。
あと、世の中の常識とその会社の常識とかルールがずれててもそれに従うしかなくて悶々としたり。
例えば、使いたい日に有休が使えなかったり。残業代なかったりしても、
「うちの会社は夏休みで有休消化するだけだから。」
「美容師の場合、仕事が遅い人が残業になるから、基本残業代ってないんだよ。」
と、言われてしまったら、
(えー!!!!!)と思いつつ、自分の意見を飲み込むしかないし。
そういうのは会社だけでなく、業界的にも、
「美容業界ってこれが常識だから。」
とか言われちゃえば、
(そんなもんなのかなー。じゃあ美容室の就職先を変えても同じなのか・・・。)
と、納得しざるを得なかったり。。。
でも職場を変えて、美容師を一度辞めてみたことで分かったなことが自分が恵まれていたのか、そうでないかがわかります。
新卒時代の僕は会社への甘えもあったりして、常に環境はよくないなぁって思ってたんで、
自分を納得させるために、一度職場を変えて、業界を離れてみて色んな事を自分なりに納得できたので大正解だったわけですね。
(あ、でも転職を斡旋しているわけではありません。職場は自分で選ぶ権利があるので自分の考えを変えるか、自分に合った職場を選んだ方がストレスがないよっていう話。)
まさかのホテルマン転職
僕の場合は、仲の良い同僚はいっぱいいたけど、長時間労働、低賃金、休日強制練習会などで気持ちの余裕がなくなったうえに、転勤&店長と合わなすぎて気持ちが切れて、もう美容師はやりたくないなー。っていう風に思っていたんですよね。
(だって就職するときに有休も使えるし、賞与もあるし福利厚生が整っている会社を押しだしてたんだもん。)
でもお客さんに辞める報告しているうちにいろいろ優しい言葉をかけてもらって、
「やっぱり美容師を続けよう!」
と心には思ったけど、「美容師やるならほかの店で。」でという気持ちだったので次働くお店を探してたわけです。
んー、あとは美容師をやるにしても、技術だけじゃなくてサービスを学びたいっていうのもあったので、ちょうどのタイミングで外資系のホテルが求人募集してたので、
そこに応募してみたらなぜか面接とかもなく受かったんですよね。
レストランで働く募集だったのに、「やっぱりベルマンで。」という感じでいきなりの部署異動。
(入社の仕方は怪しすぎるけど、)そこのホテルでの経験は今の働き方にも非常に生きているし、いろんなことを知れたっていうのは本当に良かった経験ですね!
でも当時は「何で美容師続けるのに他の職に転職するの?」というアドバイスなのか心配なのか呆れなのかわからないですが賛同する人はあんまりいませんでしたねー。
別にいいけど。
何が役に立ったのか
プライベートでは泊りにいけないくらい高級外資系ホテルで働くことになった山田氏。
何が役に立ったのかというと、色々あるけど…
- ゲスト(お客様)が求めていることを常に考える
- ゲストの立場に立って考える
ですね。
自分で考え、察するのです。
当初は超細かいマニュアルとかがあるのかなーって思ってたんですが、マニュアル自体は決まってるわけではなく、企業全体の従業員が心がける信条や行動指針の“クレド”にしたがって行動するような感じです。
(泊まりに行ったときに「クレドください!」っていうと誰でももらえます。)
ゲストのピンチの時には自分の持ち場を離れることも。
「駅までどうやっていくの?ミチ、ワカラナイ。」
って言われたら駅まで案内するし、
「薬買いに行きたいから一緒に来て。ニホンゴワカラナイ。」
って言われたら一緒に薬局いって通訳しながら、目的のものを買いに。
マニュアルがない分、自分で考える必要があります。
そのためには事前に自分でいろいろ知識をいろいろ知っておく必要があるわけです。
色々っていうのは、今日の天気とか、東京駅への乗り換えとか、車での所要時間とか、成田空港までの乗り換えとか、近くの美味しい寿司とか、美術館への道のりとか、おすすめ銭湯とか、周辺のイベントとか、ほか色々。
ゲストの質問に即座に答えるためには事前の情報管理が大事なんですよね。
ひとりひとりに合わせたおもてなし
ホテルに来館する目的は宿泊だけではないのです。
レストラン、アフターヌーンティ、バー、結婚式、スパ、ジム、カフェ、会議、記者会見・・・。
ゲストをお迎えした瞬間に、身なりを見て目的がどこなのかを判断できた方が案内がスムーズですよね。
カメラセット一式担いで来館したゲストに
「チェックインですか?」
なんて聞いてはいけません。
普通に考えたら結婚式か記者会見のカメラマンでしょ。
さらにゲストの顔を覚えているのなら、
(毎週この時間にバーに来るゲストだ!)と気づけば、
事前にエレベータを呼んでおいて、目的の階のボタンも押しておけばゲストは乗るだけで目的階につけるわけです。
さらにさらに細かいことを言えば、ゲストの特徴を深堀することもあります。
人によってはスーツケースを転がしてはいけない方や、エレベータは一人で乗りたい方、利用するタクシー会社が決まっている方もいたりするので、適したおもてなしをするには“覚える”ということはとても最重要事項なんですよね。
役に立ったことは他にも
僕の場合はずっとホテルで働く予定はなかったので、違う仕事を経験することが目的でした。
その場に身を置くことで働く側の立場で一流を経験する。
“一流のおもてなしを提供する側”の立場に立つのと、その“サービスを受ける側”は全く違います。
例えば一流のサービスを受けるために自分でお金を払って泊まりに行っても、100人以上いるスタッフのうち関わるのはせいぜい5,6人。
対応されるスタッフによってホテルの「よかった」「よくなかった」の判断、評価をしがちですが、
サービスを提供する側になれば、ゲストの問題を解決するために自分で知識を深めるので、色んな知識が増えます。
1泊70,000円~200万円のホテルに泊まりに来るゲストのがどんな対応を求めているのか。
政治家や、スポーツ選手、ハリウッド俳優、芸能人などをどのようにエスコートするか。
一流の方々をおもてなしするスタッフたちは意識も高く、その環境で働いたことはけっこう大きい。
経験したことは次に活かすことができます。
最後に
ホテルと美容室では規模も来店されるお客さんの層も目的も全く違いますが、やはり美容室で働いていてもお客さんを“おもてなし”するということは共通してますよね。
カットの技術だけじゃなくて、“気付く”ということは美容師にとっても必須条件なのかなと思います。
お客さんのちょっとした“しぐさ”や店舗のいつもと違う変化にも気付くことが大切。
自分の仕事、行動の評価は働いていたホテルは外資系ということもあり、良い対応をするとゲストから「Thank you!」と同時にチップをいただくこともあるし、
ミーティングで「あの時のあの行動はとてもよかった!」と称賛される文化があったり。
自分のやっている行動がわかりやすく評価されることは働きやすいし、モチベーションにもつながります。
そんな経験を経ていまの美容師の仕事を続けています。
百聞は一見に如かず、とはよく言ったもので、経験するって大切!