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はじめに
roomRoomがオープンして3年半がすぎ、お客様に来ていただいているおかげでお店が続けられていること感謝の言葉を綴らせてください。
ありがとうございます!
私、山田がオーナーになって3年半がたったってことになるわけですが、“お店を持つ”=“成功者”みたいなイメージが多くの人が持っているようです。
全然違います。恐縮しているわけではなく、普通にまだまだひよっこです。
距離が近い人には「俺も自分の店もってのんびり働きたいなぁ。」って本気で言われたりしますしね。
・・・のんびり??(説教です。)
そこも全然違うんですよ!
ちなみに・・・僕のまわりでは30歳前後でお店を持つ人が増えたんですが、僕の感覚では『おめでとうございます!』と同時に『お、リスク取ったね!』です。
そんな店を持たなければ気付かなかったことなどを書いていきましょう。
ちょっとリアルな話。
みんなが聞きたくても聞きづらいし、聞いてはいけないようなお金の話も少しだけ絡めて行きましょう。
業種は違えどこれからお店を持ちたい人にはすこーし現実が見えるかもしれません。
ふふふ。
独立の理由
美容師の独立する人の理由っていくつかあると思うんですけど、
- ガッツリ稼ぎたい!
- 自由に働きたい!
- 社長になりたい!
- 自分のお店が欲しい!
などでしょうか。
おそらく独立した本人以外からすると、(稼ぎたいから独立したんですね?)みたいな感じで受け取る人が多いようです。
この際、はっきり言っておきますが、僕の場合は違います。
『稼ぐぜ!』と、独立した人も一定数いると思いますが、僕の場合は『自由に働きたい』が大きい割合を占めています。
自由って言っても、好きな時にすきなだけ働くとかじゃなくて、上司の意見に拘束されない自分の意思決定できる環境ってことですよ!
僕は雇われているときに、社長などの、店長の意見と納得できないとストレスになるタイプなのです。
美容師にもいろんなタイプがいまして、
僕の感覚だと大型店舗の役職についている人は『お客さんは待たせてもたくさん受け入れろー!!』って人が多くて、僕は『お客さんを待たせてまで受け入れたくないタイプ』なので、意見衝突することも。
あとは使うシャンプー剤やカラー剤などの材料なども上の人が決めたものを使うことになるので、実際には店長や社長が仕入れるアイテムを決めるので『自分が一番おすすめしているものでは“ない“』ことになるんですよね。。。
なので僕の場合は自分がおすすめできる材料を仕入れて、お客さんの負担のないサロンワークができる場所を持つことがストレスなく働けるんですよね。
自由に働くと言えば、最近は美容室の場所だけ借りてできる“フリーランス美容師”という選択肢もありますが、例えば場所を借りている美容室側が「このお店閉めます!」ってなる場合もあるので自分のお店は必要だったのです。
お店を持つためには
お店を持つほとんどの人がお金を借りてお店を作るんですよ。
たまに「よくお店の開業資金を貯めましたね!」って言われたりしますが、全額自分で払うなんて無理です。
はじめに初期費用がいくらかかるかを店舗の設計費、機材費(シャンプー台など)材料費(カラー剤、パーマ剤など)、をぜーんぶ調べます。
見積もりを全て出して、さらに経営計画書みたいなのを書いて、
それを
- 銀行
- 信用金庫
- 日本政策金融公庫
などでお金を借りるのです。
もし担当の人が「こんな現実的じゃない経営計画じゃうちの金は貸せねぇ!」ってなったら借りれないので、現実的かつお店が継続できるであろう計画を提出するのです。
いままでの支払いの滞納がないか、などの信用度をチェックして無事審査が下りればお金を貸してもらい、それをローンで払う感じですね。
審査発表まで数週間、ドキドキですね。
そんな感じで、ほとんどの人が“借入れ”ているんですよ!知ってました?
税金や公共料金を滞納してると審査が下りないそうなので日頃の行いが大事ですね!
たまに聞かれる美容室の開業資金ですが・・・だいたい1000万円です。(ネットで調べればすぐ出てきます。)
内装と機材が高いんですよ、いいもの使いたいですしね。
ほら、この時点で業種によって全然金額は違うと思いますが、お店を持つってリスク取ってるでしょ??
“無事開業!!”で終わりではない
数か月店舗についての打ち合わせを設計会社との打ち合わせをして、お店のデザインや設備を決めていくわけです。
コンセントの高さや、電球の種類、壁紙の色、イス、棚など全部を自分で決めて、見積もり出して、無事お金を借りて1か月くらいの工事を経て、初めて体験することばかりで気持ちが折れそうになる人が多い中、店舗が無事完成!
オープン当日、お祝いの花であふれ、めでたいムードが溢れますよね!
「おめでとう!!これで安心だね!!」
ではない。
やっとこれで働く場所、環境ができただけなんです。
実際に働くにはお客さんに来てもらえなければ働くことができないのでやっとこれからスタートです。
就職と一緒です。
これからがやっとスタートなんです。
そして続けることの方が難しい。
・・・で、なにが難しいのか
責任
お店の責任者、管理者になるわけで、お店に関することはすべて僕に責任が降りかかってきます。
いろんな面を管理していなければなりません。
「知りませんでした!」では済まされないのがオーナー。
情報を自分で取り行く姿勢を続けなければいけません。
全ての決断が自分の好きに出来る代わりに、責任も全て自分。
お店が大きくなればなるほど責任の重さが増えますね。
仕事量の増加
お店に雇われているときって、サロンワークがメインでした。
サロンワーク以外は、掃除、材料の管理、ドリンク管理、シフト管理、予約の管理、営業後の練習チェック、ホームページ編集、SNS、ブログなどを分担してやっていましたが今は僕と妻。
他にも、常により良い技術や商品を提供するためにアンテナを張っていますし、うちみたいな夫婦経営だと予約次第で子どもや家のことも一通りできる必要があります。
実際、休みの日に丸一日休みということはほぼなく、買い出しや銀行は行くことになりますね!
休みっちゃ休みだけど、自分のための休みじゃないような・・・。
維持費
以前、知り合いの飲食店にご飯を食べに行ったときに言われました。
「美容室って家賃だけ払っとけば続けられるでしょ?楽でいいよねー。」
(同じ店を持つもの同士でも全然わかってないんだなぁ)って感じた瞬間でしたね。
美容室の月々の費用
家賃、駐車場、材料費、光熱費、広告費、人件費、借入返済費とかですかね。細かいことを言えば洗剤や紙コップなど使い捨てのアイテムとかも。あとは税金っすね。
美容室なんて比較的小さいお店でも固定費だけでかなりかかるんですよ。
自分が働くために、“中堅サラリーマンの月収くらい”かかるんですよ。
さらに生活するために自分の家の家賃や食費などの生活費を稼ぐわけですよね。
そう考えると独立ってなんか変わってますよね、働くためにお金をかけるって。
どうですか?
多くの人が売り上げ=給料、みたいに感じてる人が多いみたいですが、お店を持つと出費がめちゃかかりますからね!
決してのんびりやっているわけではない。(そう見えてるのかも知らんけども)
結局独立ってどうなん??
めっちゃ苦労してる感が出ましたが、僕は独立して良かったですよ!
最初に書きましたが、指示されて仕事をするより自分で考えて仕事をする方が楽しいしストレスがない。
もちろん一定の覚悟はいりますけどね。
とはいえ、サラリーマンとは働き方が違うので、苦労の仕方も違います。
でもやっぱりサラリーマンと個人事業主って立場が全然違うから色々誤解されている点が多いかもですね!
特に美容室の独立って他の業種と比べると特殊らしく、お店を持っている他業種の人からしてもあんまり理解されてないっぽいんですよね。
たまに(よく??)誤解されて「そりゃないぜ!」って発言をされるのでまとめておきます。
- 「好きな時にいくらでも休めていいね!」→無給だけどね!
- 「子供の急なお迎えもいつでも行けるね!」→お客さん全員に連絡してからね!連絡取れるまで待ってなきゃだからね!
- 「出費は全部経費で落とせていいね!」→経費なんだけど、経費が多いほど利益が少なくなるんだから全然お得じゃないぜ!
- 「自分の店なら今度ただで髪切ってー!」「もっと安かったら行ってあげてもいいよ。」→うん、じゃあ、来ないでくれ!
とかね。
つらいことと言えば、会社員や他業種の人から理解されづらいところですかね。
山田のサラリーマン美容師〜独立までの小話
僕は、最初に勤めたお店を5年で辞めて、以降フリーランス→独立なのでサラリーマン(雇われ美容師)を辞めてもう10年くらい経ちます。
雇われていた時は美容室の中では福利厚生の厚い会社に入ったつもりだったんだけど、有給あり(使えない。)、基本給あり(バイトの方が稼げる)、夏季休暇(有休消化)、残業代(月5時間まで)、店にいる時間は朝9時から深夜0時(15時間。えーーー!!!)が週5、毎日の昼休憩20分、休みの半分くらいは練習や会社のイベントっていうのが現実で。
『美容師になるために生まれてきました!』って人と寝なくても働けます!って人しか働けないんじゃね??っていう環境だったんですよね。
上司と部下っていうより、師匠と弟子みたいな関係だし。
今、見返してもやばいですね。
時代的にブラックな美容室は珍しくなかったけど、社長曰く「お前たちを守ってやってる!!」って言われ続けてきたけど(この給料って雇われて働いている意味あるのかな?)って思えてきて、そんな時に店舗異動。
異動した先の店長が、毎回ミーティングで「社長に怒られないためには〜」みたいな社長のご機嫌取りばっかりしてて嫌になって辞めました。
その店長が就職するときの面接官だったなんて皮肉ですよ。(だってその人のおかげで就職することができて、その人のせいで会社を辞めることになったんだから。)
美容師の仕事は好きだし、同僚も好きなんだけど、会社と上司は好きじゃない(すみません!!)って感じだったんですよね。
待遇に満足してないうえに上司に魅力を感じれないなんている意味がなくなってしまったんです。
その後ホテルで派遣社員→フリーランス美容師っていう流れ。
フリーランスになりたては(保証がなくなって大丈夫かな。。。)っていう不安もあったけど、元々あんまり保証されてなかったっていうこともあり、給料は増えたし、拘束時間も少なくなり、気持ちに余裕ができてより美容師を楽しむことができたのはこのときからですね!
雇われていた時は無駄に会社に期待していたり、周りに期待していたりして、その期待が叶わないと残念な気持ちになったりしていたんですが、全部自分でやっていいんだと気づいたらやることが明確だし、全部自分次第なんでそっち方が気持ちは楽でした。
それからは結婚や子供が出たりして(一生住むのは東京じゃないなぁ)ってことで地元に移住と同時にお店オープンしたのでした。
まとめ
まず、最後まで長文を読んでいただきありがとうございました。
何か発見はありましたか?
roomRoomのお客さんでもふわっとした興味なのか、将来への参考なのか
「自分も店持ちたいんですよねー」って方がちょくちょくいるのでそんな方に何か参考になれば。
あとは独立について誤解をされている方にも少しでもご理解いただければ幸いでございますよ(笑)
ちなみに美容師を含め、技術、職人系の人は「安くしてくれるなら行く」みたいな言葉をとても嫌います。
値段=技術・想い、として設定している人が多いですからね。
悪気なく言葉にしている人は要注意です!
逆に独立したことを
「リスクある選択なのにこの時代に自分の意思を貫いたんですね!」
と言われると心に滲みます。
まっ、最初に書いたように独立、お店を持つ理由は人それぞれなのでいっっっっぱいいるお店のオーナーの1人の意見として聞いてくれるといいのかなと思います。
では!